天上の虹(里中満智子) [本]
中大兄皇子(天智天皇)とか、大海皇子(天武天皇)とか、持統天皇とか藤原鎌足とか、大化の改新・・・遠い昔、社会の授業、日本史の授業でよく出てきましたよね。
でも改めて、そのあたりの歴史を話してと言われたら、全然・・・。
ところが、このコミック、ぜ~~んぶわかっちゃう(?)んです。
もう少しで全巻読破します・・・。
光の指で触れよ(池澤夏樹) [本]
でも、こんな偶然ってあるんでしょうか?今日、アグリツーリズムの話をお友達としていて、そのお友達もサスティナブルな生活ということで、環境に優しい家を建て、農業体験に来る人を募って・・・などと話していました。私は夏樹さんの本を何がテーマの本かわからず購入したのですが。
包装を紐解いてバサッと開いたところにでてきた文章が
「休暇の過ごし方の一種。宿泊施設があって、畑があって、野菜を自給自足できるくらい作ってい。普通の滞在客は宿泊にお金を払うけどたくさん働くボランティア。スタッフになれば宿泊と食費はただになる。・・・」まさにエコ系のコミュニティ^の説明をしているところだった。
「土の匂いに導かれて離れ離れの家族が行き着く場所は・・・」
「ある方向へ自分を押しているものがある。
大きな会社ではなく、もっと独立したかたち。
都会ではなく田舎(本気なのか?)
最新のテクノロジーではなく、泥臭い仕事。
年収の数字とはまた別の充実感。
こうして並べて見ると、確かに自分がそちらへ
踏み出そうとしていることがわかる。」
何か、私の思いと共通項が多そうな予感。ちょっと読むのがたのしみかもしれない
ハチ公の最後の恋人・吉本ばなな [本]
私の好きな作家ー池澤夏樹・立原正秋・宮本輝・吉本ばなな・南木佳・江國香織・小川洋子・唯川恵・・etc.
それぞれの感性が好き。透明感、孤独、情趣、美への造詣。
どの人の作品も透明なゼリーの中につるんと引き入れてくれる。鋭く、細く、哀しく、優しい神経がいい。
ハチ公・・・は今日手にいれたので未読。月曜日の電車の中で読むことにしている。月曜日の通勤は楽しみ。
こういう感性、こういう哲学の人、すきだなあ!「本当についた嘘より悪い事ー自分の考えで人を動かそうとする事。」「あらゆる雑多な事をいい悪いなんて言えない。・・・なにもカもごちゃごちゃ含んだひとつの大きな宇宙を創って・・・いつの間にか大きく流され・・・すてきなところにいる」どの文も心の中にきゅ~んと沁みこんで来て、何故にこんなにその通りの表現が出来るのかって、涙がこぼれる。
モンテーニュの随想http://www.europez2.com/kinsei/ad1580it.html
を読んだ時の感動に何故か似てる。
天の刻・小池真理子 [本]
甘やかな祝祭ー恋愛小説アンソロジーを読んだ。
中でも小池真理子の「天の刻」の主人公の蕗子の潔さが好ましい。そんな蕗子自身さえも気がつかない己の心がまた切なくていい。
私のお気に入りの宮本輝の「夜桜」,C.ブロウスキーの「町で一番の美女」も楽しく読める。
2204-11-11
「41歳からの哲学」池田晶子 [本]
いつも文庫しか買わないと決めている私には珍しく単行本を買った。1200円也。電車の中でしか本は読まないと決めた私には、単行本は持ち運びに大変だ。なにしろかさばるし重い。でも文庫が出るまで待っていられなかった。というのは題目に惹かれたせいだ。
ちょっと往復の電車の中で読みきってしまったので、もったいなかったかなって、重い本を眺めながら今反省をしている。2004-10-30
本を買う、読む、そして本をなかなか捨てられないーこれが悪癖だ。狭い我が家ではどんな小さなスペースも無駄にはできないのに・・・本ばかりは埃を被っていても捨てられない。本をとっておいたって再び同じ本を読むことなどないのに・・・。
大学に入ってすぐ、哲学の授業で「ラーメンがここにあります。でも本当のラーメンはあそこにあります」と天を指差した哲学の教授がいた。
「なに言ってんの?」そんな受け止め方しかしなかった。
でも、哲学してみたいなあ!そんなことをこの本は感じさせてくれた。そうだ!哲学することにしよう!!
と、ここで言ってみる。気が変わらないように。
「家族」南木佳士 [本]
読書は決して良い趣味とはいえない。子供の頃「今本を読んでるの!」といえば、親から用事を言いつかる事はなかった。「この子は本好きで・・・」というのが褒め言葉として使われていた。でも、本好き、読書が趣味というと、良い子のように聞こえるがそうではない。ものぐさになるし、目は悪くなるし、時に現実逃避して黄泉の国をさまよっては心地よくなっているだけなのだから。
だから、できるだけ我が家では読書をしないように気をつけている。つまり、電車に乗っているときだけ読書をする。だから文庫本1冊を読みきるのに2日~3日かかる。読み続けたいのに目的の駅に到着してしまったときには、ホームのベンチに座って、キリの良い所まで読み通す。でも、決して家では読まない。読んだら最後、もう牛のように動かなくなってしまうから。だから自分をいさめるルールを作った。
そんな訳で,今日の帰路の電車の中で読み終わったのが南木の「家族」。年老いた父親が死に直面している。当然、家族にもいろんな思い、苦痛が伴う。そんな複雑にからみあう家族の心をそれぞれの家族が独白していく。おもしろい内容だった。
森の中の海 ・宮本輝 [本]
本を読むことは嫌いではない、むしろ好きな方ではあるが、とにかく世間で売れているからというので買うのが嫌な性分なので自分の直感で本を選ぶ。まあ、5冊に1冊くらいは、すぐ読むのをやめてしまう面白くない本に出くわす。本になるほどだから、どこか身になったり、面白かったりするんだろうが、私にはわかろうとする心はない。もう、嫌いなのは嫌いなのだ。じゃあ、どんな本が嫌いかというと、芸術家らしくみせようとしてる文体でかかれているもの。
作家を気取りたくて、作家として荒稼ぎしたいと思いながら,それが裏にでてるような格好つけたもの。でも宮本輝は違う。文章だ、文体だを論じている暇などないほどにどんどんと文章が映像化していく、感情がどんどん入っていく。最後まで読みきって、ほっと一息。そして「うまいなあ~やられた!」と思う。筋書きを時が経って忘れてしまっても、時々絵が脳裏に浮かんでくる。「錦繍」の時の山、壁に釘付けされたとかげ、大群の蛍、つぶれた蛙、そしていろんな植物がからみあってる古い大木。それらが、まるで私が過去にどこかで見た光景と錯覚してしまうほど、鮮烈な記憶として残っていくのだ。本当に宮本輝は凄い。